育ちの良さが
本日は友人のホットヘッド君と一緒に、ざる蕎麦を
マイ箸でな
それでは早速、
最初のひと口をいただきたいのですが...
おや、よく見ると…
ざる蕎麦に欠かせない「蕎麦つゆ」が抜き取られているようですね。
なにごとでしょうか。これでは美味しく食せません。
困惑している僕の携帯電話に、なにやらメッセージが届きました。
送られてきたメッセージによると、ロンドンに名前が似ている「ロン
ここからロンデン小学校までは約10km。着つゆ距離※が10kmということになりますね。
※着つゆ:蕎麦が蕎麦つゆに入ること。
※着つゆ距離:蕎麦ひと口をざるから持ち上げて、着つゆさせるまでに必要な移動距離。ほとんどの場合、箸を少し動かすだけで着つゆできるので、一般的な着つゆ距離は10cm程度。
普通の食卓はこれくらいのスケール感で、着つゆ距離は10cmくらいだから…
食卓の縮尺が100倍になってるってこと!?
そうすると、通常では起こらないはずの問題が発生してきます。
蕎麦、乾くくね?
そうです。
着つゆ距離が長くなると、蕎麦が口に運ばれるまでに乾いてしまうリスクがありますね。
作らないとな、
装置を。
プログラムを書き、(英語・数学・理科・技術)
霧吹きをモータ制御して、(理科・技術)
ブザーをはんだ付け。(技術・音楽)
パイプを切り出して骨格を作り、(図画工作・技術)
ミシンでカバーを縫い合わせます。(家庭科)
お出汁を取って、(家庭科)
箸をマグネットジョイントすれば、(理科・給食)
完成!
「蕎麦ひと口が乾かない装置」です。
蕎麦が乾きそうになると、発射音が再生されると同時に、自動でお出汁が噴射されるようになっています。
動画が再生できない場合
なお、お出汁は見やすいように、赤色に着色してあります。これは伏線なので覚えておいてください。
また、噴射するお出汁が残り少なくなったときには、防犯ブザーを改造して作った「お出汁切れアラート」が音を出してお知らせ。
これさえあれば、食卓の縮尺が100倍になっても安心ですね!この装置は僕たちの義務教育の集大成※です。
※(カッコ)内には、それぞれの作業に対応する義務教育課程の科目を記した。
それでは、義務教育の集大成を、自転車に搭載して出発です。
一瞬でロンデン小学校に到着。ガラの悪い小学校教諭たち(喫煙者)が睨みつけてくる中、記念撮影をしていると...
携帯電話に新しいメッセージが送られてきました。
※塩分チャージ:名前の通り、塩分補給のためのラムネみたいな商品。
ミッションスタート!
がっつり謎解きするぞ!
突如始まった謎解きに2人がここまで意欲的に参加しているのは、「指示に従わないと蕎麦つゆを返してくれないかもしれない」という強迫観念からです。
ダイスが表してるのは111124っていう数字だね
検索は5回までだから慎重に
JIS配列キーボードで、「111124」のところのひらがなを読むと...
ヌヌヌヌフウになるから絶対違う。
電話してみるよ。
ノータイムで非通知から折り返された。
怖い...
日付ぽくない?2011/11/24(2011年11月24日)とか。
2011年のできごとを調べてみよう。
大波乱の10月の次は...
11月だけなんもない。
虚無月。
もし有名なニュースがあっても、「関係する場所に行け」っていうのがわからないよね。
場所か...「塩分チャージを買え」ってことは、なんかの店ってこと?
コンビニとか?
開店日はどうかな?この街に初めてセブンイレブンができたのって、結構最近だった気がする。
開店日か...
開店閉店.comっていう、まさに求めてるサイトがあった!
2011年11月14日は...無印良品とかスタバとかの開店日だな。
怒涛の開店ラッシュじゃんこの日。
ん?これって全部Yモール※のテナントじゃない?
※Yモール(仮名):県内最大の商業施設。
ということは、もしかして...
Yモール自体が...
開店した日!?
Yモールの開店日は2011年11月24日!
間違いない、BINGOだ。
やったー
4回目の検索で、確証を得ました。
歓喜のあまり、「ハイタッチ待ちをしてたらハグされてしまった人」が誕生しました。ハイタッチとしては成功なのか失敗なのかよくわかりませんね。
ちなみに、僕たちが謎解きに取り組んでいるこの数十分の間、悪人面の小学校教諭たちの視線は厳しくなる一方でした。
とりあえず、Yモールに向かいましょう。
Yモールまではしっかり15kmくらいあります。
絶妙にだるい距離
経由地が増えたことで、図らずも三角食べに初挑戦することになってしまった。
縮尺200倍の三角食べ。
三角食べとは、主食・飲み物・おかずを順序よく食べる方法です。
三角食べは女々しい行為とされていますが、食卓の縮尺が200倍ともなれば、その惰弱さも解消されるのではないでしょうか。
Yモールに向けてしばらく進むと...
蕎麦がピンクに色付き始めた
上の方はカチカチ。
装置が噴射するお出汁に着色料が入っているせいで、蕎麦の下部ほどピンクに染まっているというグラデーションができました。
ちなみに、この時点の僕たちはまだ気がついていませんが、この「カチカチとピンクのグラデーション」は後に「蕎麦の美味しさの指標」になります。覚えておいてください。
そうこうしているうちに、Yモールが見えてきました。
Yモールの駐輪場に到着した時点で、蕎麦のカチカチ&ピンク度合いはこのくらいです。
装置と蕎麦が盗られたらいやだな。
誰が盗るんだよ。
盗られることはないとしても、自転車の荷台で謎の装置が色付きの液体をウィンウィン放出しているわけです。
「不審物扱いされる」という現実的な問題がありますので、このような貼り紙をしておくことにしました。
何が動作中なのかは書かないのがポイント。
有無の言わせなさ。
「装置から噴射されるお出汁を口で受け止めると、程よい温かさで
塩分チャージをギリギリ売り切れる前に購入し、
会計を済ませていると、僕の携帯電話に新しいメッセージが届きました。
添付された画像を見て、その画像が撮影された場所を突き止める問題です。
謎解きのフィールドが変わった。
T島※にあるのか。どこなんだろう...
※
Google Lenzで画像解析してもヒットしない。
室外機の数からして、民家ではないよな。
なんかの施設っぽい。
T島にある施設はこれだけだ。適当に行っても当たりそうだな。
まずは、どこを目指そうか。
西小学校を目指す。ついて来い。
西小学校はT島の中心部に位置してる。(名前は西なのに)
だから、答えが別の場所だったとしても修正が効きやすい。島内のどこに行くとしても、西小学校を拠点にしておけば間違いない。
このように、移動の利便性を考えて西小学校を最初の目的地に設定しました。
T島はここから15km離れてて普通に遠いし、島なので海を越える必要もあり、結構キツめの移動になります。
また、この時点で三角食べを超えた四角食べに初挑戦することも決定してしまいました。
とりあえず、西小学校へ向かって出発します。
装置の噴射口がどっか行くというトラブルもありながら進んでいきます。
石像がiPadを持つな
iPadにコイン乗せていいのはマジシャンだけ
でっけーブドウをリュックにするな
上記のように、疲れてきた僕たちが「道端の物に毒を吐く」という最悪の遊びに興じる一幕もありながら、島までの道のりはラストスパートに差し掛かり、
ただの民家ではなく、
「クロックスの偽物を祭壇にして崇めている民家」を通り過ぎると、
けちょんけちょんの山道(上り坂)が始まります。
山道を抜けて橋を渡り、海を越えると、T島が見えてきました。
T島は小さい島なので、あっという間に島の中心部である西小学校に到着。自転車を漕ぐだけで良いという奴隷労働の時代は終わりです。
ここからは腰を据えて謎解きしていくぞ!
写真の場所はここじゃなさそうだ。この小学校は問題の画像に比べて、壁が白すぎる。
問題の画像をよく観察してみましょう。
進研ゼミみたいな喋り方すんな。
壁から巨人の指が突き出てるみたい。
アンテナがある。
アンテナって空高く伸びてるから、遠くからでも目立つんじゃないの?
けっこういい目印になるかもしれないな。
「アンテナ」を目印に探すため、2人で空を見上げてみます....
え?
え?これやん。
目の前にあった。
近づいてみると...
指もある。
HAHAHA
アンテナも巨人の指も、完全に目の前の風景と問題の画像が一致しました。
最初の目的地であり、僕たちの目の前にある西小学校こそが、探し求めていた場所だったと。あまりにあっけない話でした。
記念撮影もしっかり済ませます。
問題の場所はここで合っているはず。しかし、この場所に何か仕掛けがあるわけでもなく、新しいメッセージもなかなか送られて来ません。
暇になった僕たちは、衝動的に近くにあった公園に向かい、目に入った遊具で手当たり次第遊び始めます。
逆上がりに挑戦している最中、誰かから電話がかかってきました。
手紙は見つかりましたか?
何それ?誰?どういうこと?
本日の謎解きにおける、問題作成の最高責任者です。
最高責任者だということで、彼のことは「マスター」と呼びましょう。
次の行動の指示が書かれた手紙を近くに隠しているので、探し出してください。
携帯に指示が送られてくるんじゃないんだ
T島編では、実際に足を動かして、手紙を探しながら謎解きに挑戦していただきます。ここからが本番ですよ。
マスターからの電話はここで終わりました。
ここからは携帯電話に送られてくるメッセージに従う方式ではなく、あちこちに隠されている手紙に従って謎を解く方式になるそうです。
手紙あんじゃん
ホットヘッド君はその手紙を叩き潰し、真っ二つに切り裂いた上に、
真っ二つだし、日本語が下手すぎる
文句まで言っていました。真っ二つなのは、お前のせいだろうが。
手紙の内容はこんな感じでした。海浜公園というのは、T島唯一の娯楽施設のことです。手紙に従って海浜公園に向かい、公園内で謎解きをしていきます。
1つ目の問題用紙をバーベキュー場で近くのベンチで発見。
謎解き要素が足りない。
そう言ってホットヘッド君は、この問題用紙をビリビリにして、ジグソーパズル的な謎解き要素を追加してしまいました。
こんな風が強いときにすることじゃない。
このときは強風ですぐに紙片が飛ばされてしまうような状況だったので、パズルの難易度は
さて、ビリビリになった第一問に取り掛かります。
問題:Aに入る場所は?
ラップみたいだなあ
答え:海賊船(海賊船を模した遊具のこと) 解説:問題文に出ているすべての単語が、「アイオウエ」で韻を踏んでいます。クリックで答えを見る
公園内にある場所で、「アイオウエ」で韻を踏むのは、「海賊船」(海賊船の遊具)くらいのものですね。
第一問はクリア。そのまま謎解きを進めていき、ついに最終問題です。
サクサク進んでいるように見えますが、実際の謎解きはかなり難航していて、半日くらいかかりました。
最終問題が書かれた紙を手にした僕。
これはビリビリにするなよ
何をするかわからないホットヘッド君に念押ししておきます。これで彼の動きは抑えたつもりでした。しかし...
えっ?
えー?
へっへっへ
いや、ちょっと...
問題用紙がビショビショになって、屋根の二度と取れないところに張り付いちゃったじゃないですか。
取れたけども。
グシャグシャになった上に、水圧で真っ二つに割れました。結局はビリビリ以上の惨状になっていますが、ホットヘッド君がビリビリ以外の方法を模索してくれたという点で、その姿勢は評価しましょう。
そんな満身創痍の最終問題はこちらです。
問題:Bに入るのは?
簡単な漢字の問題だ。
「違い」を「仲間外れ」だと考える。日本教育の賜物。
答え:階段
解説:階段だけが音読み+音読み の熟語です。
それ以外は訓読み+訓読み の熟語になっています。
鮮やかな別解: 石橋の「橋」には「木」。坂道の「坂」には「土」。青空の「青」には「月」という、曜日を表す漢字が入っています。階段だけは入っていないので仲間外れだと考えられます。
Aに入る言葉は第一問ですでに出ているので、これで全ての答えがわかりましたね。
海賊船の中
階段の下
出ました。「海賊船の中の階段の下」を捜索すれば、蕎麦つゆが見つかるはずです。
海賊船は4階建ての複合遊具なので、階段がたくさんありますね。
捜索にあたって、階段を下からをのぞき込む必要があるのですが、その動作が完全に子どもたちの下半身を狙う変態不審者なので、怪しまれないか少し心配です。
数時間経過しました。僕たちの不審者情報はそろそろ園内全域に広まったころでしょうか。階段の下の骨組みの隙間に、何かが隠されていることに気がつきました。
バカ小っちぇー紙が入ってる
定規を差し込むなど、メチャ苦労して紙切れを取り出します。なにか書かれているのかな?
は?受け入れられない。
俺ら、蕎麦つゆ奪われただけの人?
問題作成チームは「新しい蕎麦つゆを用意しておく」程度のこともしてくれないんでしょうか。
彼らは僕たちから蕎麦つゆを取り上げ、「蕎麦つゆを返してほしければ」という脅し文句で、僕たちに100km近い移動と謎解きを強要したというのに。
筋が通りませんね。
よく見ると、問題用紙の下に、問題作成チーム本部の住所が書いてありました。公園の敷地内なので近くです。
ここが問題作成チームの拠点ですか。乗り込んで、問い詰めてやりましょう。
おい おい おい!
はい?
蕎麦つゆ用意できなかったならさ...今すぐ作れよ。
早くしろ。あと荷物全部持っとけ!
マスターは全部の荷物を持たされ、急ピッチで蕎麦つゆを作らなければいけなくなりました。
1時間後。マスターが責任を持って、オシャオシャな皿で蕎麦つゆを仕上げてきました。
僕たち2人は優しいのでマスターにも蕎麦を分けてあげることにしました。しかし、それとは対照的に、マスターは僕たちを本部の建物内に入れてくれません。
ということで、その辺の道で路上飲食です。
ここまで長かった。それでは最初のひと口、食します!
おお!程よい
出汁がじっくり長時間噴射され続けたことで、蕎麦に染み込んでる!
僕のリポートを聞いて、食欲が湧いたのでしょうか。最初は蕎麦の衛生状態に疑問を感じ、実食をためらっていたホットヘッド君とマスターも、興味津々で蕎麦に食らいつきます。
ピンク色が濃い部分ほど美味しい!わかりやすい!
腐ってなかったんだ。
どう考えても、必要なのは「蕎麦が乾かない装置」じゃなくて「冷蔵庫」だったはずなのに...
美味し〜
カチカチのところは骨せんべいに近しい魅力がある。
「大人の嗜み」みたいな楽しみ方も確立されつつあるようです。
それにしてもアレですね。
外で食事すると、衛生基準がツーランクダウンくらいしますね。
当然のように、箸とかストローとかはアスファルトの上に直置きするようになっていました。
これは、衛生基準がツーランクダウンした結果、アスファルトがランチマットにツーランクアップを果たしたのだと思います。(相対的に)
この装置もよく頑張ってくれました。
装置の中で落ちた蕎麦や出汁がたまるところ(排水溝と呼ばれている)を掃除してみると...
装置の骨格を担う部品がほとんど外れ落ちていました。
構造上の欠陥があることは否めませんが、装置の耐久度も限界を迎えているようです。
蕎麦も完食したことですし、「蕎麦を乾かないようにする装置」の電源を切って、閉会の儀といたしましょう。
僕のありがたいスピーチをもって(スピーチ中に乱入者がいてわちゃわちゃしましたが)、この御食事会は終了となります。
帰宅するぞ!
謎の人物、マスターに別れを告げ、謎解きの最後のフィールドであるT島を後にする2人。
今更ですが、ホットヘッド君のTシャツのバックプリントが、島というフィールドに対して好意的なのが素晴らしいと思いました。
乗ろうとした船に猛烈な勢いで逃げられたため、水路が塞がれ、陸路で帰るしかなくなったり、
ふと見上げると、『空と建物、
それにしても僕たちの街で太陽が沈んだのは何年ぶりでしょうか。
エンディング(エンドロールの後はおまけ企画、「読者参加型謎解き」が開催)
以上をもちまして、御食事会の全日程が終了しました。
蕎麦をひと口食べるのに、これだけ移動しました。
総距離100kmの四角食べです。
注)10km+15km+15km+20km+20km+20km=100km
ということで、100kmシリーズ第2段、「ひと口の移動距離が100kmの蕎麦」をお送りしました。
当記事は、実話に基づくフィクションです。過激な発言や行動はすべて演出であり、実際のロケは関係各所との綿密な打ち合わせのもと、安全や人権、環境を考慮した上で実施されました。登場する地名や組織名は仮名であり、実在するものをモデルとしていますが、飽くまで作品世界の中での表現であることをご理解ください。
100kmシリーズの前作はこちら
読者参加型謎解き
この記事のどこかに「コード」が隠されている。
隠されたコードを読み取り、未公開の写真や動画が詰まった「100km蕎麦 特典フォルダ」にアクセスしよう。
ヒント2
ヒント3
一枚だけ、クリックしたときの挙動が、他とは違う画像がないだろうか。(ソースコードから探すのもアリです)
最終ヒント
蕎麦のパッケージラベルには、バーコードが付いている。
バーコードはダミーだが、その隣にあるのは...