竹口の日記

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【初投稿 エッセイ】 知らないおじさんに金を貸した

どうも竹口です。

今回は知らないおじさんにお金を貸した話をしますね。

 

それは3月、春休み中のある日のことです。

この日は3人ほどで、ある友人の家に行く予定でした。

 

その家が結構遠いので、

今回はJRを使うことにしました。

 

 朝9時半ごろ、同行者の1人が、一緒に駅まで向かうため、ステキな我が家まで迎えに来てくれました。

 

しかし、僕はお昼ご飯を食べている途中だったので、まだ外に出られません。なぜ朝9時半に昼ご飯を食べていたのか、ご説明いたしましょう。

 

昼は「鍋をする」とか聞いていましたが、

今回のメンバーのうち、

鍋にまともな食材を入れるような文化人は1人もいません

それを見越した上で、僕は家を出る前にあらかじめ昼ご飯をしっかり食べておこうと計画していたのです。

 

友人を待たせながら昼ご飯を食べ終えたときにはもう9時40分をまわっていました。列車は9時50分にやってきます。エクストリームに自転車を漕いで駅まで向かいました。

 

究極のスピードを出すために僕が考案した方法は、

エクストリーム・パラレルワールド・サイクリング です。

2人で一緒に駅まで向かっているものの、お互いはパラレルワールドの住人であり、同じ道を走っているものの決して互いを認識することはない、という自己暗示をかけながらひたすらエクストリームにサイクリングする技術です。

 

この方法を実践したせいで、ふつうにはぐれました。

 

駅構内で自己暗示をとき、出会えたときは感動しましたが、それがタイムロスとなり、ふつうに乗り遅れました。

 

次の列車まで時間があったので、一度駅から出ることにしました。駅員さんに話したら駅からの退出と再入場を認めてくれたので、自動改札が導入されていない駅でよかったなと始めて感じました。(自動改札だと再入場とかできるのかは知らない)

 

まず、列車に乗り遅れたために、途中の停車駅で乗ってくるはずだったもう1人の友人と、合流することができなくなりました。でも我々はポジディブです。デパートに遊びにいくことにしました。

 

まずは駅から近いデパート。そこで友人の買い物に付き合い、そのあと屋上にある遊園地のようなものに行きました。

 

この遊園地は今までレトロゲームの聖地だったのですが、改装で一気にふつうのゲームセンターに成り下がってしまいました。残念です。

 

まだまだ時間はあるので、別のデパートにも行きました。

友人がお世話になった恩師のために蝶ネクタイをプレゼントしようと言い出したのですが、紳士服店で売られているものはあまりに高価で、

「手頃な価格の蝶ネクタイはありますか」

と聞く勇気もなかったので、我々は100円ショップに移動しました。

 

100円ショップにも蝶ネクタイはありましたが、あまりに派手で、

「落ち着いた蝶ネクタイはありますか」

と聞く勇気もなかったので我々は諦めました。

 

駅に再入場し、乗り遅れた列車の次の便に乗りました。走る方向に対して反対向きに椅子があるというなかなか古風な車両でした。

 

WALKMANを新調したので車内でノイズキャンセリング機能を使ってみたのですが、列車の走行音がキレイに消えてとても便利でした。

ノイズキャンセリングとは真逆の、外音取り込み機能も友人と会話をするのに役立ちました。

 

f:id:koichiabesan:20190324214911j:image同行した友人

 

さて、目的の家の最寄駅に着きました。

f:id:koichiabesan:20190324214952j:image

びっくりするほど何もないところだったので、

一応 加工して世界の終わり感を出しておきました。

 

途中友人の急な思いつきで走り出したり、ガードレールで四方を囲まれた恐ろしい砂場と出会ったりしながら、大自然を満喫しつつ、お家を目指しました。

 

我々がバカリズムさんのネタを大音量で流しながら歩いていると、上空からびっくりチキンの声が聞こえました。

f:id:koichiabesan:20190324215302j:imageびっくりチキン

 

上を見上げると、一軒の家の二階の窓から、

列車に乗り遅れなかった友人と、その家の主が手を振っていました。

 

我々も友好的に手を振り、礼儀正しく玄関から家に入ったのですが、

「遅れた罰だ。魚の部屋に入れ」

 

と、いきなり家主から罰を言い渡されました。

 

f:id:koichiabesan:20190324215637j:imageイメージ

魚の部屋 というものだから、こんな感じをイメージしていたのですが、

f:id:koichiabesan:20190324215713j:image実際

実際は照明のやさしいお部屋。しかも全然魚臭くない。電気をつけてみると熱帯魚のいるオシャレなお部屋でした。

 

とりあえず二階に上がり、すごろくを行いました。鍋をするということでしたが、

すごろくで鍋をするという指令が出るまで昼ご飯にならない という仕様。

サイコロ使ってちゃ昼飯にありつけねー

ということで、僕がルーレットを用意しました。

f:id:koichiabesan:20190324221548j:imageルーレット

武勇伝を語る の割合が高すぎて全然進めなかったのでサイコロの方が早く鍋を始められたかもしれません。

 

結局、遅れなかった方の友人が鍋を始めるマスに止まり、我々の鍋は開始されました。

 

f:id:koichiabesan:20190324221827j:image我々の鍋

コンロとガスは僕が持ってきたのですが、

ふつうに鍋がありませんでした。

 

土下座で懇願したら鍋を用意してもらえました。醤油ダシもおまけで用意してくれました。

 

与えられた食材はほとんどが鍋に向いていないものでしたが、知恵を絞ればなんてことありません。

 

まず、風味を豊かにするために、あたりめのダシを取る作業を全員で行いました。

 

そんな中、僕はあたりめでダシを取っているフリをしながら、実は

コーラグミでダシを取っていました。

 

鍋のベースは一気にコーラに。具材のチーズ、マロニーを投入し、じゃがりこをしゃぶしゃぶし、チーズとともに食べていたまでは良かったのですが。

 

ずっと鍋の底に沈んでいたマロニーの存在を忘れていました。いつのまにか10倍ほどに体積が膨張し、しかもコーラ味のスープを吸っているので、味は地獄です。

コーラを吸って膨張したマロニー、ぜひ一度食べてみてください。

 

結局マロニーは1人に押し付け、

f:id:koichiabesan:20190324222438j:image料理

僕はポテトチップスやマシュマロに火をつけて食べていました。いい料理ですね。

マロニーの山は消化剤として利用させていただきました。

 

鍋(お菓子)を食べ終えると、突然ですが卵を炙りたい衝動に駆られました。

 

ライターを数本掴み、その場にいた全員を引き連れて僕は外に向かいました。

 

ライターの火は強風のために一切つかず、卵は炙れませんでした。その卵の賞味期限がとっくに切れているということにも気づいてしまったので、その家の冷蔵庫にこっそり押し込んでおきました。

 

鍋は終わりましたが、

それはすごろくの1マスにすぎないのです。

 

ルーレットをみんなが改造しまくり、向かいの家に突撃という過激な罰ゲームもあり、なんだかんだで盛り上がったすごろくですが、

全然 終わらないのです。

ゴールしたら終わりなんてものではありません。

2回に1回くらいは振り出しに戻されるのでゴールするのも至難の技ですが、そんな中、僕は

スタートから始まり、ゴールし、逆走してスタートに戻り、またゴールするというところまで

1.5往復しました。

しかし終わることはありませんでした。

 

結局その日は中断という形で幕を閉じました。

 

自宅に帰るため、我々は駅に向かいました。

鍋をした部屋から廊下に出たいときは足ツボマットを踏まなければならないのが苦痛でしたね。

 

「この家に住めば足ツボに耐えられるようになるのですか?」とインタビューしたところ、

「この家に住めば足ツボを踏まない技術が身につきます」との答えをいただきました。

ありがたいですね。

 

帰り道、どうしても気になったので、ガードレールで四方を囲まれた砂場に立ち寄りました。

 

そこは、実は神社の敷地内だったということでね。

 

地面スレスレのブランコや、地面スレスレでないブランコ、シーソーのようで実は2台のブランコが連結されたような遊具といった設備が整ったブランコ特化型の神社でした。

 

我々が1番気に入ったのはブランコとは一切関係のない、切り株でした。

 

切り株でおままごとを始めたのですが、

盛り上がりすぎて、

ふつうに列車に乗り遅れました。

 

駅ではすごろくがなくてもルーレットだけで遊べるおもちゃを作り、時間を潰していました。

f:id:koichiabesan:20190324224158j:imageおもちゃ

 

このルーレットの指令に基づき、現在エッセイを作っています。

 

しばらくすると、この駅に1匹の犬を連れた1人のおじさんがやってきました。

この方こそが、

今回の主役となる知らないおじさんです。

 

おじさんは

「財布と携帯を落としたので交通費を貸してくれないか」

と、物腰低く話しかけてきました。実際はもっと丁寧なことばづかいをされていましたよ。

 

僕は500円、家主は千円をおじさんに渡しました。知らない人と交流したいという思いからの行動です。別に善意でもなければ見返りを求めていたわけでもありません。

 

おじさんは遠くに住んでいるものの、職場が僕の家から割と近いようでしたので、

僕の家の最寄駅に翌日の16時に返しにきてね

と約束をしました。ちなみにおじさんが連れている犬は盲導犬の資格を取得しているために交通機関に乗れるらしいです。素敵ですね。

 

それが我々とおじさんの出会いでした。

 

帰りの列車。なんと車内にトイレがあるんです。おもしろいですね。ドアの開閉はボタン式。電気系統が故障したら閉じ込められますね。

 

いろいろな経験を積み、その日は帰宅しました。

 

翌日

 

「16時の少し前にはいる」とおじさんが言っていたので、待たせるのも悪いかなと考えて私は15時半くらいに駅に行きました。

しかし、おじさんはきません。

やっぱりきません。

どこからくるのか知らないし、連絡先もわかりません。

 

おじさんは信用のために免許証を見せてくれたので、名前と住所は開示されているわけです。

しかし、もちろん両方とも覚えていません。

 

16時になりました。

友達が2人来ました。

1人帰りました。

もう1人も帰りました。

そいつが戻ってきました。

ここからは、ただただ2人で1時間耐久していただけです。けっこうしんどい。

 

おじさんはもう来ないという前提で、

1時間耐久を終え、帰ろうとすると、急な雨に襲われました。僕は傘を買うためにコンビニまで濡れながら走りました。しかし、コンビニの傘は往々にして高価です。僕はコンビニを後にし、濡れながら100円ショップまで走りました。100均の傘はとても小さかったです。

 

あと、ふつうに財布を持っていませんでした。

メルカリのポイントを電子マネーに変えてなんとか傘を買いましたが、やっぱり小さかったです。

100均の傘の中でも1番小さいやつを買ってしまいました。

そして、外に出たとき、雨は止んでいました。

あるあるですね。

 

今回の件で、僕は騙されたとは思っていないものの、500円は返ってこなかったわけです。

家主は千円を失いました。

しかし、いろいろな経験ができました。

傘を買った瞬間雨がやむというあるある。

知らない人と交流を持とうとする心。

待ち合わせで1時間待つ経験。

来ない人を待つというロマンティカ。

すべてが僕を成長させてくれるので、それでいいです。

あと、メルカリが500円くれたし、PayPayも500円くれたし、メルカリが400円くれたし、メルカリが800円くれたのでそれでいいです。

現金なやつですね。

それではさようなら。竹口でした。